minneアトリエ神戸「トークイベント&ハンドメイド作家交流会」レポ

現在、急成長しているハンドメイドマーケット。
スマホひとつで手軽に作品を売買できるアプリは大変人気で、女性を中心に利用者数は上昇を続けています。
そのハンドメイドマーケットのひとつである「minne(ミンネ)」は、ダウンロード数が700万を突破、登録している作家さんの数も34万人を超える国内最大級の人気サイトです。
さて、そのminneの「アトリエ」が神戸にあるのをご存知でしょうか?
昨年4月のオープンから早くも1周年ということで、このたび2017年6月10日(土)に開催された「minneのアトリエ 神戸 1周年記念イベント 」へおじゃまさせていただきました。
内容は「トークイベント」と「ハンドメイド作家交流会」の2本立て。
「神戸市×フェリシモ×minne」という行政と企業のコラボトークでは、ものづくりについてやハンドメイドから始まる新しい働き方など、興味深いお話がたくさん聞けました。
「ハンドメイド作家交流会」も、作家さん同士の意見・情報交換で大盛況でした。
それぞれについて、もう少し詳しくお伝えしていきますね。
ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)とは
出典:minne(ミンネ)
minne(ミンネ)は、GMOペパボ株式会社が運営する国内最大級のハンドメイドマーケットです。
アクセサリーから雑貨、さらには食品まで幅広いカテゴリがあり、作家さんが心を込めて作った作品を手軽に個人売買できる通販サイトです。
2015年「ハンドメイド大賞」森の動物たちのぽんぽんブローチ
2015年からは「ハンドメイド大賞」というコンテストを実施して、ものづくりをしている方にスポットライトが当たる機会を提供しており、受賞者はものづくりだけでなく出版等のさらなる分野にも活動を広げています。
GMOペパボ株式会社minne事業部・安部さま(左)広報・石川さま(右)
GMOペパボ株式会社のご担当者さまに、
「どんな人にminneを利用してほしいですか?」
と尋ねたところ、
「ハンドメイドをしているすべての方に利用してほしい。自分の作品を他の誰かが買ってくれた時の喜びを、たくさんの方に味わってほしい。」
と熱い思いを話してくださいました。
minne(ミンネ)のアトリエ 神戸とは
三宮駅から15分ほど歩いたベイエリアにたたずむ、ゴシックを基調とした建物「デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO(きいと)」。
こちらの2階に「minneのアトリエ 神戸」があります。
東京都世田谷区に続く2つ目のアトリエで、主に作家さまの活動をサポートする場所です。
minneのアトリエでできること
出典:KIITO
- minne主催のワークショップや勉強会への参加
- 作品の撮影スペースとしての利用(要予約)
- 作家さま同士の交流
- オーダーメイド作品の打ち合わせや引き渡しなど
- minneでの作家活動に関するご相談(要予約)
ご予約はメールで受け付けているそうです。
(atelier.kobe@minne.com)
見学は予約不要。
ハンドメイド大賞受賞作品の展示等もあるので、気軽に訪れてみてくださいね。
minneのアトリエ 神戸
出典:KIITO
営業時間:11:00~18:00
休館日:毎週月曜日
※休館日が祝日または振替休日の場合、その翌日
電話:080-8158-5512
住所:〒651-0082 神戸市中央区小野浜町 1-4
デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO 204
HP:https://minne.com/minne-atelier
トークイベント「神戸からはじまるものづくり」
ものづくりに関心がある、約120名の方々が参加したトークイベントの模様をお伝えします。
「神戸からはじまるものづくり」について
神戸は山と海をあわせもつ豊かな風土、海外からの文化をいち早く取り入れてきた異国情緒を持ち、街のあらゆる景色・場所・ものがデザイン性にあふれています。
つまり、街を歩くだけで、ものづくりに触れているといっても過言ではないのです。
また、開放的で自由な気質は創造性を駆り立て、神戸から生まれた文化や産業は数多くあります。
「神戸らしさ」というキーワードは、すでに1つのブランドとして成り立つほどです。
そんな神戸の最大の魅力を、フェリシモの宮本さんが「神戸の魅力=人の魅力」だと話してくれました。
そして、震災から復興したこの街を、山も海も文化もある「世界で一番整ったミニチュア」ともおっしゃっていました。
これは、神戸市が震災復興20年を記念して立ち上げた「BE KOBE」プロジェクトともつながります。
今年は、神戸港開港150周年の記念すべき年。
新しい神戸へ向かっての出港宣言をぜひご覧ください。
「minneのアトリエ」を神戸にオープンした経緯
現在、神戸市は働き方改革の推進をはかっており、その一環として「時間や場所にとらわれない働き方」を拡げていこうとしています。
特に子育て中の女性が「家で働く」という形を模索する中で、目に留まったのがminneのワークスタイルだったそうです。
神戸市から話を受けたminneでは、
「minneとして、できることは何か?」
を考えた結果…
minne利用者の約9割が女性。
当初は「ものづくりをしながら他にも仕事をしている」人が多かったのが、最近では「ものづくりだけで生活している」人が増えてきている傾向があることから、「ものづくり支援の場所」を提供しようということになりました。
このような経緯で、「minneのアトリエ」を神戸にオープンすることになったそうです。
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
出典:KIITO
アトリエが入っている「デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)」は、大正から昭和初期にかけて「輸出生糸」の品質検査を行う施設として、重要な役割を担った歴史ある建物です。
この歴史より、KIITO(きいと)という名前は、生糸が由来。
いったんはその役割を終えましたが、今新たに一時代を築いた街や文化を継承し「デザインを切り口にした街づくり」をコンセプトとして、新しい価値を生み出す創造の拠点として再生しました。
ステージフェリシモ
同じくKIITOの中にある今回のイベント会場「ステージフェリシモ」は、今年3月にオープンしたばかり。
使う側の想いひとつで、どのようにでもアレンジできるクリエイティブで開放的なスペースが特徴です。
このステージでの新しい出会いや気づきから、またさらなるイマジネーションが生まれるよう「刺激をいっぱい感じられる場所として提供していきたい」とのお話でした。
フェリシモの人気商品ができるまで
阪神淡路大震災後の1995年から、神戸に本社をおく人気通販会社のフェリシモ。
こちらには「Couturier(クチュリエ)」というハンドメイド部門があります。
この日、会場に展示されていた「ミニチュアフレームの会」は30年近く続いており、作品総数は350を超えるロングセラーだそうです。
最近は、UVレジンやつまみ細工、粘土細工などクラフト的なものが人気とのことで、手作り作家さんの影響もあってかアクセサリーキットはずっと好調だというお話もありました。
今回は、商品企画担当の方から商品開発の裏話をうかがうことができました。
まずは、実際に見せていただいた商品化される直前のサンプル。
ひとつひとつ、とても丁寧に説明が付いていました。
企画から始まってデザイン起こし、材料集め、色きめ、何度も何度も行った試作、説明書の作成まで…
そのプロセスは、想像以上に数多く大変だったことと思います。
その一つ一つの工程で、実際にそれを購入して作る方が、どのように感じるかを想像しながら進めていく姿勢は、すごいなと感じました。
他にも「これができたら会社を辞めてもいい!」とまで思って作ったシリコン型のお話などもあり、そのすべてに共通していたのが、
「購入した人が、それを作るときにどんな気持ちになるか」
とか
「よりたくさん楽しい気分になってほしい」
といった想いからの商品に対するこだわりでした。
最初にアイデアを思いついた瞬間と、それが仕上がった時がいちばん楽しくて、その間はまさに産みの苦しみもあったりするのだけれど、やっぱり(すべてが)楽しいんです!と話す笑顔がとても印象的でした。
こんな風に作られたハンドメイドキットは「作り手の想い」を感じられる商品でもあります。
そこに、自分の想いを重ねて作り上げることで、世界に1つしかない作品が仕上がるのでしょうね。
クチュリエなら、たくさんのキットの中から自分に合ったものを探せるのではないでしょうか。
minneを通じて活躍中の人気作家の「共通項」とは
minneには、たくさんの作家さんがいらっしゃいます。
その中でも、特に人気だったり活躍されている作家さんには、ある「共通項」があるそうです。
①作品のつくりがていねいであること
これは当然といえば当然ながら、やはり一番大切なことのようです。
②自分で客観的に作品をみてディレクションできること
特に、ひとりでものづくりをしていると、時折「これでいいのか?」と分からなくなったりすることがあるそうで、そんな時に大事なことがこちらだそうです。
- 1歩引いて作品を見れる力
- 誰かに意見を聞いて、そのフィードバックを作品に展開できる力
迷った時には、minneのアトリエを利用してみるのも有効かもしれませんね。
「神戸からはじまるものづくり」の発展をめざして
トークイベントの終わりに、これからの活動について、それぞれのビジョンのお話がありました。
神戸を発信地として、ものづくりのおもしろさやワクワク感を広めていけるようにチャレンジしていきたいとのことで、ものづくりを体感できるイベントやワークショップなどの企画が生まれてくるかもしれません。
これからの動きに期待が膨らみます。
ハンドメイド作家交流会
トークイベントの後は、作家の方々が集まっての交流会が行われました。
それぞれが持ち寄り、所狭しと並べられた作品の数々。
その作品はもちろんのこと、ディスプレイや名刺、ショップカードなどについても、これだけたくさんの事例が一度に見れるのも交流会ならではのこと。
お互いに、意見や情報交換をしたり共有したりと大盛況でした。
作家のみなさまからは、
「普段は個人活動が多いので、このような機会はとてもありがたい」
との声が数多く聞こえてきました。
また、トークイベントに引き続きminneのスタッフさんとフェリシモの方々も参加しておられて、作家さんと交流されていました。
直接、企業側から聞けるお話も、ためになったことではないでしょうか。
minneのスタッフさんからは、
「こうやって他の人と話すことで、また新しい視点が生まれたり、コラボが生まれたりしていくんです」
というようなお話も聞くことができました。
余談ですが、軽食コーナーに用意されていたお菓子やパンもminneで販売されているもので、これもまた場を盛り上げるひとつの要素となっていました。
どれも、とっても美味しかったです。
このような交流会が、ぜひこれからも、この神戸で開催されるといいなと思います。
まとめ
実は、私自身もハンドメイド好きということもあって、今回の取材はとても興味深いものでした。
ハンドメイドの市場が、こんなにもにぎわっていることを、改めて実感しました。
昨今の女性起業ブームも重なって、これまでにないようなマーケットの動きが出てきているのでしょうね。
そして、行政と企業がコラボした新しい働き方へのチャレンジや、神戸からはじまるものづくりの発信は、今後注目していきたい動きだと感じました。
「minneのアトリエ 神戸」は、神戸近郊でハンドメイドをしている作家さんやこれからハンドメイドをしてみたいと思っている方にぜひ行ってみてほしい場所でした。
私も、ぜひまた訪れてみたいと思います。
たくさんの人が「自分らしく働くクリエイター」になっていく未来。
考えるだけで、なんだかワクワクしますよね。
will be KOBE!
夢を形にする人が集う街「神戸」なら、それは、そう遠くないことなのかもしれません。